まぶたが重くて開きが悪くなってきたので病院に言ったら「眼瞼下垂」と言われたという方がいらっしゃると思います。
実は、よく瞼のたるみ(眼瞼皮膚弛緩症)と瞼の下垂(眼瞼下垂症)を同じものと捉える間違いが見られます。眼科医の先生でも判断を誤ることが多いので無理もありません。簡単に言うと瞼を開く筋肉が弱っているのが「眼瞼下垂症」、瞼の皮膚が老化でたるんでいるのが「眼瞼皮膚弛緩症」です。
しかし、程度の差はありますが、どちらの症状も認められるのが通常です。その場合、まぶたの皮膚のたるみを解消する「眉毛下皮膚切除術」とまぶたを開く筋肉の衰えを改善する「 眼瞼挙筋腱膜前転術・前頭筋吊り上げ術」をハイブリッドで行うことがあります。
・眼瞼下垂と眼瞼皮膚弛緩症の見極め方は?
簡単には見極めることは難しいですが、目安として、たるんだ皮膚が上から被さってきて瞼縁(まつげの生え際)が見えない場合は皮膚のたるみ=「眼瞼皮膚弛緩症」です。反対に瞼縁に皮膚は被さっておらず、黒目(瞳孔)が隠れている場合は筋肉が弱っている「眼瞼下垂症」と診断されます。
・眼瞼挙筋腱膜前転術・前頭筋吊り上げ術とは?
「上眼瞼挙筋」という筋肉は眼球(目の玉)の裏側から始まり、まぶたの縁にある「瞼板(けんばん)」という硬いフレームのような組織に付着しています。この筋肉が働く(収縮する)とマリオネット人形の目の動きの様に眼球(目の玉)の奥の方へ瞼を引き込みます。つまり瞼(まぶた)は頭の方へ上がるのではなく、目の奥へ引き込まれる様に開くのです。
しかし、この筋力が弱ると瞼を引き込めなくなり、代わりに眉を上にあげる筋肉=前頭筋(ぜんとうきん)が働くようになり眉が上がり、その結果額に横シワが生じ、瞼縁と眉毛の距離は広がっていきます。
「上眼瞼挙筋」の力が弱まる原因は老化現象が圧倒的に多いのですが、コンタクトレンズを20年以上装用している方の実に80%に生じると言われています。また、左右どちらかだけ下垂が起こっているケースには古い顔面の外傷や、アレルギーで目をこする癖の結果、また若年者の複数回の埋没式重瞼術(埋没法)の結果なども見られます。
「上眼瞼挙筋」の機能が十分に残っている場合はこの筋肉を引き締めて作用を強くするための手術=挙筋腱膜前転術を行います。
また、挙筋の機能がほとんど失われているケース(主に先天性・小児)には前頭筋の力を借りる前頭筋吊り上げ術が適応になります。
・理想の目もとを作るために
当院ではまず、「どんな目もとになりたいのか」お一人お一人の理想をしっかりとお聴きすることから始めます。目はお顔の印象を決定づける大事な部分ですが、目だけ見るのではなく、お顔全体の中でとらえることがとても大切です。違和感のない自然で美しい目の印象となるバランスを考え、慎重にデザインし、丁寧な腫れの少ない手術をご提供します。十分に納得するまでご相談ください。