『放射線治療医からみるケロイド治療』

 

 

医療法人徳洲会 宇治徳洲会病院 放射線治療科 立入誠司

 ケロイド・肥厚性瘢痕の治療にあたって、手術放射線治療医の立場からお話ししたいと思います。ケロイドの治療は、「手術」と「放射線治療」と「術後」の患者さんの毎日のケアが上手く行った時、始めて最高の結果が得られると考えています。是非、この3つの意義を十分に理解して、ケロイドを克服できるよう頑張って下さい。

放射線治療の必要性

 真性ケロイド・肥厚性瘢痕(以下、ケロイド等)は、それ自体が生命に危険を及ぼすものではありません。しかし、その見た目や疼痛、かゆみは日常生活に支障をきたすほどのものです。再発を抑えるためは、放射線治療は欠かせないものなのです。

・治療の内容

 ケロイド等に対して放射線を4回から10回、連日あるいは隔日で照射します。回数はケロイド等の種類や場所、手術の併用の有無などによって変わります。使用する放射線は、からだの深い部分まで届かない種類の放射線で、4メガボルト(4.000,000ボルト)の電子線、あるいは小線源照射装置のイリジウム線源(Ir-192)のガンマ線を用います。体の外から照射する‘外照射’と、アプリケーターと言うイリジウム線源を通す細いチューブを手術創に埋め込んで、内側から照射する‘内照射’の2つの照射法があります。照射する範囲は、手術創から数mm~1cmの範囲に放射線を照射します。放射線は‘強い光’のようなものなので、照射中、何も感じないのが普通です。

期待できる効果

 ケロイド等は手術単独では、100%近く再発しますが、手術後に放射線治療を行った場合は再発率が、20~40%に低下します。ただし、放射線治療を行っても20~40%は再発する可能性があると言うことです。放射線単独治療でもケロイド等の縮小が期待できますが、やはり同程度の再発が見られます。再発した場合、2回目の放射線治療は多くの場合困難です。

・副作用

 照射部位の皮膚にコーヒー色の色素沈着をきたすことがあります。仮におこっても多くの場合、数年(多くは2~3年)で自然に消失します。照射部位の皮膚に網細血管拡張をきたすことがありますが、4回から10回程度の照射でおこることは稀です。

 ケロイド等の放射線治療部位に発癌したという症例が、ごく少数ですが報告されています。発癌の可能性はきわめて低く、この症例に関しても放射線治療と発癌のはっきりした因果関係は証明されていませんが、理論的には放射線は発癌を誘発する可能性はあります。

・治療のながれ

 手術の予定が決まりましたら、放射線科を受診して頂きます。

 手術翌日(術後できるだけ早期に放射線治療を開始した方が良いと考えられています)に放射線治療科を再受診し、照射範囲の決定を行い、実際の照射のための受診日を最終決定します。

当科では1日おきに5回照射するのが基本で、2週間弱で治療は終了します。

放射線を照射している時間は1病変につき数分です。病変数が多い場合は、日をずらして照射する場合もあります。通常は照射中何も感じませんし、照射後も何もお体に変わりはなく、通常の日常生活を送りながら治療を受けることができます

・治療後のセルフケア

 手術と放射線照射により難治性ケロイドの多くがコントロール可能となりますが、それだけでは不十分で、再発してしまう場合もあります。シリコンシートを傷跡に貼ったり、抗アレルギー薬であるリザベンの内服も有効な場合がありますが、手術+照射後に傷跡を保護する毎日の自己管理が最重要です。

いくら、きれいに手術して、正確に照射しても、その後の毎日の傷の管理がいい加減では何にもなりません。ケロイドをきれいに治すためには、①手術、②放射線照射、③自己管理を三本柱として、患者さん自らが努力を継続させることが重要です。

手術部位の傷が安定するまでは、再発の原因となる第二の傷から傷跡を保護しましょう。手術跡に傷を広げるような力をかけるのが、一番良くありません。1年間は傷跡をしっかり守りましょう

 

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